八ヶ岳エリアで土地や不動産の売却相談をしていると、比較的高い確率で出てくるの境界杭の話。
弊社では測量がなされていない場合は、売却前に売主様へ測量作業をお願いしております。
「境界杭が見当たらないんですが、大丈夫でしょうか」
「測量図が見当たらない」
「売る(買う)前に、何から確認したらいいですか?」
ここでは境界杭や測量図、何を確認すべきかを簡単にご紹介します。
※本記事は一般的な情報整理を目的としたもので、境界の確定や法的判断を行うものではありません。
土地の状況や取引内容によって必要な対応は変わります。具体的な判断は、専門家(例:土地家屋調査士・測量士等)への確認をおすすめします。
境界は「線」より「説明材料」
境界というと「ここが線です」とピシッと決まっているイメージがあります。
でも実務では、まず “説明できる材料がどれくらい揃っているか” を整理するところから始まることが多いです。
・手元に何の資料があるか
・現地で確認できる手がかりはあるか
・必要なら、どこから情報を辿れるか
この3つを順に押さえるだけで、話が進めやすくなります。
こんなときは、境界を一度整理しておくと安心です
「この状態だと必ず問題」という話ではありません。
ただ、次のような場面では境界の話題が出やすいので、早めに整理しておくと安心につながりやすいです。
・売却を考え始めた(買主から質問されやすい)
・建築や増改築を考えている(条件確認が必要になることがあります)
・隣地との間にフェンス・石・溝などがあり、「境界っぽいもの」が複数ある
・相続で引き継いだ土地で、資料が少ない
・草木が茂っていて、そもそも見えるものが少ない
境界確認のおすすめ手順(ここが本題)
0)現地で“無理をしない”
境界杭らしきものが見えても、抜く・動かす・掘り起こすのは避けるのが無難です。
壊してしまうと、かえって状況整理が難しくなることがあります。やるなら「見える範囲で写真を撮る」くらいで十分です。
1)まずは“手元の資料”を探す(いちばんラクなところから)
境界の手がかりは、意外と「買ったときの書類」に入っています。
まずは、以下を一式探してみてください(全部揃っていなくても大丈夫です)。
・売買契約書・重要事項説明書
・物件資料(販売図面)
・測量図(確定測量図・現況測量図など表記は色々です)
・公図(写し)
・登記関係の資料(登記識別情報など)
・固定資産税の資料(参考程度)
探し方のコツ
測量図は「A3で折ってある図面」「袋にまとめられている」こともあります。
相続の場合は、書類箱・金庫・ファイルなどにまとまっていることも多いです。
2)現地で“境界っぽいもの”を確認する
次に現地です。ここでやることはシンプルで、**“手がかりを集める”**だけ。
・四隅っぽい場所を歩いてみる(草が多い場合は無理しない)
・杭・金属プレート・コンクリート杭・刻印など、それらしいものがないか
・溝・石積み・フェンスなど「昔からの境界っぽいもの」があるか
・目印になりそうなものを写真で記録(全景+寄り)
ここも断定は不要で「それっぽい情報」を集めるだけで十分です。
3)仲介会社・測量会社を辿る(資料が残っていることがあります)
手元に測量図が見つからない場合でも、過去の取引に関わった先に資料が残っていることがあります。
・当時の仲介会社(担当が変わっていても、保管されている場合があります)
・測量を行った会社・調査士事務所(図面作成者名が書類にあることも)
※必ず見つかる、という話ではありません。ただ「ゼロから」より「辿れる可能性」はあります。
4)公図や登記など、“整理の材料”を集める
一般に、公図(写し)や登記情報などは状況整理に役立つことがあります。
ただし、こうした資料だけで境界を確定できるとは限らないため、ここは「整理の材料」として捉えるのが安全です。
5)不安が残るときは、専門家に“状況整理”から相談する
境界の扱いは、土地の状況・隣地との関係・取引の内容で必要な対応が変わります。
そのため、ここは “状況整理の相談” から入るのが現実的です。
相談先になりやすい例:
・土地家屋調査士
・測量士(測量会社)
・(売却の流れ全体も含めてなら)不動産会社
「何を持って行けばいいか」が分からない場合は、次のチェックリストを使ってください。
よくある質問
Q1. 境界杭が見当たらないと、売却は難しいですか?
A. 売却できるケースもあります。ただ弊社では売却前に売主様にて測量作業をお願いしております。買主様が不安を感じやすい点なので説明材料を整理しておくと進めやすくなります。
※弊社にて家屋調査士様等のご紹介はさせて頂けます
Q2. 測量図がありません。どこを探すと良いですか?
A. 売買契約書一式・重要事項説明書・図面の袋、相続書類の保管箱などに入っていることがあります。
見つからない場合は当時の仲介会社や測量会社、法務局に確認できるケースもあります。
Q3. 公図があれば境界は分かりますか?
A. 公図は状況整理に役立つ場合がありますが、それだけで境界を確定できるとは限りません。状況に応じた確認が必要です。
Q4. 境界の確認は誰に相談すればいいですか?
A. 状況によりますが、土地家屋調査士・測量士(測量会社)、法務局などが相談先になることがあります。
売却全体の進め方は不動産会社に相談すると整理しやすいです。
「確定測量が必要になることがある」場面
ケースによりますが、例えば次のような場面では、買主側から境界の説明を求められることがあります。
・建築を前提として購入する
・融資や各種手続きで説明が必要になることがある
・隣地との距離・越境が気になる要素がある
・土地の形状が複雑、または面積の認識が曖昧
※「必ず必要」という意味ではありません。
ただ、売却の途中で初めて話題になるより、早めに把握しておく方が落ち着いて動けます。
5分チェックリスト(境界が不安なとき)
手元にあると助かるもの(全部なくてもOK)
・売買契約書・重要事項説明書
・測量図(あれば)
・公図(写しがあれば)
・地番が分かる資料(登記関連など)
・現地写真(全景・四隅っぽい箇所・杭っぽいもの)
現地でメモしておくと良いこと
・「杭っぽいもの」が見えた場所(ざっくりでOK)
・フェンスや溝など、境界っぽい構造物
・隣地との間で気になる点(越境っぽい木枝、擁壁など)
八ヶ岳の土地で境界が不安になりやすい理由
・草木が伸びやすく、目印が見えなくなりやすい
・落ち葉や雪で視認性が落ちる季節がある
・敷地が広めで、四隅を日常的に歩かない
・別荘利用だと「必要なときだけ見る」領域になりやすい
最後に
境界の話は「売却を決めてから」だと急に重く感じることがあります。
でも実際は、迷っている段階で状況を整理しておく方が、気持ちが軽くなることも多いです。
・測量図が見つからない
・境界杭が見当たらない
・どこから確認すればいいか分からない
そんな段階からでも、状況整理のお手伝いができます。