八ヶ岳のお気に入り|ikkakumosaic.

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八ヶ岳で過ごす時間の中には、目的地として向かう場所とは別に、
ふと気持ちが惹かれ、日常の延長線上で出会う「好きなもの」があります。

今回紹介する ikkakumosaic.(イッカクモザイク)は、北杜市を拠点に生まれる木工作品のブランド。
暮らしの中に静かに寄り添い、時間とともに馴染んでいく存在です。

木の手触りが残る、暮らしを彩る山

ikkakumosaic. で制作されているのは、日々の暮らしを彩るオブジェやキーホルダーなど、
日常の中で実際に使うことを前提とした木工作品です。

木の質感や重み、削り出されたラインは、どれも過度に主張することなく、
それでいて手に取った瞬間に心地よさが伝わってきます。
飾るための作品ではなく、使いながら時間を重ねていくための道具。
そんな距離感に魅力を感じます。

暮らしの中で、自然に使いたくなる

ikkakumosaic. の作品は、
「特別な場面で使うもの」ではありません。

リビングに飾る作品を眺めるだけで、明日山に行こうと思わせてくれたり、日々の暮らしの中で、自然と手が伸びる存在です。

北杜市や八ヶ岳エリアの暮らしは、自然のリズムとともにあります。
その中で使われる道具もまた無理なく生活に溶け込むことが大切だなと思います。

作家について

ikkakumosaic.の作品を手がけるのは、木工作家の井出 裕太さんです。

1982年、長野県南佐久郡生まれ。

2000年代初頭から登山やバックカントリースノーボードに親しみ、
山を中心とした生活を続けてきました。

2010年には北アルプスに魅了され、松本市内の登山用品店に勤務。
山に関わる道具やフィールドと向き合う日々の中で、
「使うこと」「触れること」「自然の中で生きること」への感覚を培っていきます。

2017年、山梨県北杜市へ移住。
この地で木工を始め、自ら建てたアトリエを拠点に創作活動をスタートしました。
現在はアウトドアブランドとのコラボレーションやワークショップの開催なども行いながら、
見てきた山、歩いた稜線、滑った地形から受けたイメージを、木という素材で表現する作品を制作しています。
山の造形を思わせる作品群には、単なるオブジェや道具を超えた、
山とともに生きてきた時間の蓄積が静かに刻まれているように感じられます。

北杜市の暮らしと手仕事

八ヶ岳・北杜市には自然の豊かさだけでなく、
人の手から生まれるものに惹かれる瞬間があります。

ikkakumosaic.の木工作品は、暮らしの中に山だったり自然の雄大さを与えてくれる作品。
毎日の中で何度も目にし、何度も触れることで、少しずつ生活の一部になっていく存在です。

そうした「好きなもの」が身近にあることも、この土地での暮らしを考えるうえで、大切な要素のひとつなのかもしれません。

終わりに

八ヶ岳での時間を思い返すと、印象に残るのは大きな景色だけではなく、こうした日常に寄り添う場所や道具だったりします。
八ヶ岳のお気に入りでは、これからも、私たち自身が好きで触れているモノや場所を、少しずつ紹介していく予定です。